ジュエリーデザイナーに思うこと。
ジュエリーのデザインに携わってかれこれ35年になりますが、ジュエリーデザイナーになった理由は、何かをデザインする仕事であれば、何でも良かったというのが正直なところです。特にジュエリーのデザインがやりたかったわけではありません。その頃は、作品を作ることよりも作品のアイデアを考えることの方が楽しく思っていましたので、何かデザインを考える仕事といういうのが希望でした。大学で金属工芸を学んでいたことがジュエリーを作る工程とほぼ同じなので、今思えばジュエリーデザインの仕事を選んで良かったと思っています。
就職活動のなか、大学の求人にジュエリーのデザイン室勤務の募集があったので何となく会社見学に行き面接を受けました。特に大きな野望などはなかったですが、内定をもらった時は見学の時に見せてもらったデザイン画が描けるようになれる自分を思い描きワクワクしたことを覚えています。就職して初めて自分がデザインした商品がパンフレットに載った時や雑誌に掲載された時は本当に嬉しかったことを思い出します。
もしあの時、違う道を選んでいたら全く違う人生を歩んでいたのかと思うと不思議な気持です。
そんなこんなで35年間もデザイン画を描き続けていますが、今ではCADでデザインすることが当たり前の時代になっています。時代に取り残されないようにと14年前に少しCADの勉強をしましたが、それきりになってしまっています。今後のジュエリーはすべてCADでデザイン、製作されるようになるのは間違いないでしょう。CADデータ打ちこみから造形までがジュエリーデザイナーの仕事になるのではないでしょうか。今のところAIが発展しても奪われにくい仕事のなかにジュエリーデザイナーは含まれていませんが、果たしてそうでしょうか?「石のサイズを瞬時に計測して、それに見合ったデザインを瞬時に描き出す」なんてことが出来る時代が来るのもそう遠くはないかもしれません。
クリエイティブなことはAIなんかには負けたくないですね。