ルネ・ラリック
私が好きなルネ・ラリックは、アール・ヌーボーとアール・デコをまたいで活躍したフランス人の美術工芸作家です。元々はジュエリー作家でしたが、時代の流れとともに50歳くらいからガラス工芸作家に転向しています。20世紀のモダンなスタイル「アール・デコ」のリーダー的な存在でもありました。
当時の上流階級の贅沢品だった車は特注が主流だったようです。カーマスコットというのは、車のラジエーターキャップに取り付ける装飾品のことで、それまでは金属製だったのを当時の最先端をいくお洒落さん達はラリックのガラス製を取り付けることで競い合ってたようです。車がファッションだった古き良き時代ですよね。
この『勝利の女神』と呼ばれているカーマスコットは30種類くらいあったデザインの中の代表作とも言われているそうです。女性が大きく口を開けて風で髪がたなびくフォルムはとてもダイナミックで私が好きな作品の一つです。
東京都庭園美術館の展示でもご覧になったことがあるかもしれませんが、その『勝利の女神』は三井家の旧蔵品で、ロンドンの宝飾店アスプレイより購入されたと記してありました。1928年に制作されたもので金属付属が付いてるものです。少し黄ばんで見えるのは当時実際に使用されてたのかもしれません。今度庭園美術館に行った時に尋ねてみようと思います。