
『脅かす』
「おどかす」と読みますが「おびやかす」とも読みます。では、どうやって読み分けるのかというと、文脈から判断するしかありません。
文章を書いていると、悩むことがあります。「追求」「追及」や、「寂しい」「淋しい」、「逢う」「会う」「遭う」、「お勧め」「お薦め」「お奨め」、「変える」「代える」「替える」「換える」などがそうです。いつもどれを使うのか悩む漢字です。ブログを書く時は、多分これだろうと選択していますが、自信がなく毎回調べています。
梶井基次郎の小説の一節に「吉田は何時か不眠症ということについて、それの原因は結局患者が眠ることを欲しないのだという学説があることを人に聞かされていた。吉田はこの話を聞いてから自分の睡むれないときには何か自分に睡むるのを~ 今自分が寐られないということについては~ 」という文脈の中に「眠る」「寝る」という意味合いに漢字を使い分けています。勿論、理由があるのでしょうが、調べてみなければ分かりません。
京都の嫌味言葉に「ぶぶ漬けでもいかがですか?」というものがあります。これを訳すと「さっさと帰れ」となります。まあ、実際に使われることはないでしょうが、奥の深い言語です。「元気なお子さんやねぇ」は「静かにさせろ」、「お嬢ちゃん、ピアノ上手になりはりましたなぁ」は「近所迷惑やで」と訳されます。真に受けてたら大恥をかくことになります。本気で言ってるのか、嫌味で言ってるのか、判断の難しいところです。
先日、芥川龍之介の「羅生門」を読みました。高校の教科書に出てくるあの短編小説です。「この小説を理解できることが、最低限必要な読解力である」などと小耳に挟んだものですから読んでみました。もちろん高校生の時、授業で習いましたが、どんな内容だったか覚えておらず、読み終えて「そうそう、そんな話だった」と当時感じた意味不明の不気味な小説だった記憶が蘇りました。あれから45年、「多分、そういうことなんだろうなぁ?」程度の理解に留まりました。
夏目漱石の「吾輩は猫である」は、もう何度も読んでいますが、未だ最後まで読み切ったためしがありません。因みに、ここの「ためし」は「試し」では意味合いが違ってきますので、漢字で書くなら「例」と書かなければなりませんが、平仮名で書くのが適当でしょう。尚、「適当」には2つの意味があり、「ほどよい」「いい加減」どちらで解釈するかは文脈で判断することになります(笑
日本語は難解すぎます。