便利なこと
万年筆の中にはキャップのないノック式というものがあります。
これは日本のパイロット社が1963年に世界初のノック式万年筆を発売し半世紀に及ぶロングセラーとなっています。
万年筆といえば筆記しながら考え事をする場合はキャップを閉める習慣がないと書き出しにインクが出ないなんて事がよくあります。インクを補充したり洗ったりと面倒な筆記具ですが、その書き味を体験すると虜になってしまう筆記具でもあります。ノック式万年筆は一般的な万年筆とは違いボールペンのように片手で操作出来る非常に便利な万年筆です。また、便利なだけでなく通常の万年筆に引けを取らない書き味を併せ持ったノック式万年筆は一度手にしてしまうとキャップ式の万年筆に戻れないのではないかと思うほど優れています。
しかし、世の中の万年筆全てがノック式にならないのは万年筆が実用性だけでなく嗜好品としての一面を持っているからでしょう。
電子メールやSNSで簡単に伝えることが出来る便利な世の中になりましたが、季節を感じながら文章を嗜む。
「便利」だけでは味わえない日本の文化も大切にしたいと思います。